CHARACTER ARCHIVE / 逸伝篇
芙蓉姫
家を失い、若き劉備と白馬で逃げた鴻家の令嬢
芙蓉姫は、吉川英治『三国志』にのみ登場する、鴻家の令嬢です。史書にも『三国志演義』にも登場しません。黄巾の乱のなかで県城の長・鴻家が滅ぼされ、父を失った令嬢として現れ、寺の老僧にかくまわれていたところへ、若き劉備が逃げ込みます。老僧に頼まれた劉備は、彼女を白馬の鞍に乗せて二人で逃げ、賊の矢で白馬が倒れたところへ、張飛が現れました。のち劉恢の邸で劉備と再会して心を寄せますが、劉備が邸を去るとき、楼台から三人の姿が見えなくなるまで見送り、縁談は「志を得た後に」と先送りになります。
吉川英治『三国志』にのみ登場する、鴻家の令嬢。黄巾の乱で家を失い、老僧に託された若き劉備と白馬で逃げた。のち劉恢の邸で劉備と再会して心を通わせるが、劉備が邸を去り、別れた。
THE WAY OF LIFE
芙蓉姫の生き方
身寄りを失ったあと、親戚の劉恢の邸で、深窓の令嬢として暮らす。芙蓉姫は、守られる立場にありながら、出会った相手と心を通わせる人物像です。
去る一行を引き止めず、楼台から姿が見えなくなるまで見送る。ここに、自制と、静かな情の深さを重ねています。
持ち味と、その裏側
状況に流されても、品位と情の深さを失わない、静かな芯の強さ。一方で、自分から動く場面が少なく、周りの決断に左右されやすいため、自分の望みを言葉にして伝えることも大切です。
IN THE CHRONICLES
史実・物語の歩み(概略)
生没年不詳(物語の人物)
県城の長・鴻家の娘として語られる、吉川英治『三国志』の創作人物。史書にも『三国志演義』にも登場しない。
- 吉川英治『三国志』では、黄巾の乱のなかで県城の長・鴻家が滅ぼされ、父を失った令嬢として登場する。姓は鴻、名は芙蓉。家来は散り散りになり、乱軍のなかで迷ったところを、寺の老僧にかくまわれていた。
- そこへ劉備が逃げ込み、老僧は劉備を見込んで、芙蓉を県軍の陣まで送り届けるよう頼んだ。劉備は彼女を白馬の鞍に乗せ、二人で乗って逃げた。賊の矢で白馬が倒れ、二人は地面に投げ出されたが、そこへ張飛が現れた。
- のち、劉備が関羽・張飛とともに劉恢の邸に身を寄せたところで再会する。芙蓉は、その邸で深窓の令嬢として養われていた。
- 劉備は芙蓉を「芙蓉どの」と呼んで心を寄せ、張飛に逢引を咎められた。関羽は、あの娘は自分の旧主・鴻家の御息女だと明かしつつ、劉備に本気かと問う。劉備は「唯、恋あるのみ」と答えたうえで、大志は捨てないとも述べた。
- 洛陽の巡察使と定州の太守が邸に泊まることになり、潜伏中の三人は邸を移る。劉備らが去るとき、劉恢は見送りに出なかったが、芙蓉は邸内の楼台から、三人の姿が見えなくなるまで見送った。張飛は、劉備が望むなら取り持つと申し出たが、「志を得た後に」と、縁談は先送りになった。
- 史書にも『三国志演義』にも登場せず、吉川英治が若き日の劉備の物語に添えた創作の人物。
主な出典
吉川英治『三国志』(新聞連載版)の「白芙蓉」「岳南の佳人」「故園」
SOUL ALIGNMENT
人物像の分類:秩序・善
家柄と立場をわきまえ、去る人を引き止めずに見送る姿から、規律は秩序寄りとしています。
危機の中で託された相手に身を預け、去る人も静かに見送る姿から、動機は善寄りに置いています。描かれる場面が限られるため、場面から読み取れる範囲での配置です。
このページの性格・人物像と生き方の文章は、史実や『三国志演義』の記述そのものではなく、本サイト独自の8軸と人物タイプに基づく読み物です。