CHARACTER ARCHIVE / 逸伝篇
周魴
髪を切って曹休を欺き、石亭の大勝を呼んだ太守
周魴は、呉の鄱陽太守です。魏の大将・曹休をおびき出すため偽りの降伏を申し出て、朝廷の詰問を受けると郡の門前で自ら髪を切って謝罪し、その姿で曹休の疑いを解きました。曹休は十万の兵で迎えに来て、石亭で大敗します。孫権は「髪を下ろして義を載せ、わが大事を成した」と称えました。経歴は『三国志』呉書「周魴伝」をもとにしています。
呉郡陽羨の人で、字は子魚。若くして学問を好み、孝廉に挙げられた。銭唐の賊・彭式を一か月足らずで討ち、鄱陽太守として彭綺の乱を平らげた。228年、曹休をおびき出す計を自ら申し出て、七条の書を送って偽りの降伏を伝えた。朝廷からの詰問が続くと郡の門前で髪を切って謝罪し、これを聞いた曹休は疑いを捨てて十万の兵で皖に進み、陸遜に大敗した。のち賊帥の董嗣を間諜で討ち、兵を動かさずに数郡を安んじた。鄱陽に十三年在任して没した。息子は「三害を除いた」周処。
THE WAY OF LIFE
周魴の生き方
山賊の討伐でも、曹休をだます計でも、人を動かす前に自分が先に動く人です。「山の名のある者を使え」と言われて、「それでは漏れます、私がやります」と答えた。
朝廷の役人に詰問されたとき、周魴は門前に出て髪を切った。見ている者は皆、本当に追い詰められた太守だと思った。それが計の一部だったことを知っていたのは、ごくわずかの人だけでした。
持ち味と、その裏側
相手の目に何が映るかを読み、自分の体ごと計の中に置ける胆力。賊の討伐でも、兵を使わず間諜で片づける手際があった。一方で、そのやり方を「郡守の務めではない」と見る人もいた。
IN THE CHRONICLES
史実・物語の歩み(概略)
生没年不詳(三国時代)。鄱陽太守を十三年務めて没した
揚州呉郡陽羨県の人。字は子魚。
- 若くして学問を好み、孝廉に挙げられた。寧国・懐安の県長を経て、銭唐の賊帥・彭式が騒ぐと銭唐侯相となり、一か月足らずで彭式とその一党を斬った。
- 黄武年間、鄱陽の賊帥・彭綺が数万人で郡県を落とすと、鄱陽太守に任じられ、胡綜と力を合わせて彭綺を生け捕りにし、昭義校尉を加えられた。
- 孫権は周魴に、山中の名のある旧族で魏にも知られた者を探し、曹休を欺く役に使えと命じた。周魴は「その程度の者では事が漏れて曹休を呼べない」と答え、自分の親しい者に七条の書を持たせて曹休に送り、朝廷に責められて殺されそうなので鄱陽郡ごと魏に降りたい、兵を迎えに寄こしてほしいと伝えた。
- 計を進めるあいだ、朝廷から郎官がたびたび詔を奉じて事情を問いただしに来た。周魴は郡の門前に出て髪を切り、謝罪した。曹休はこれを聞いて疑いを捨て、歩騎十万を率いて皖へ向かった。魏の明帝は司馬懿を江陵へ、賈逵を東関へ、三方から同時に進ませた。
- 228年、周魴は兵を集め、陸遜に従って曹休の軍を横から断った。曹休の軍は崩れ、斬られ捕らえられた者は万を数えた(石亭の戦い)。
- 戦が終わると孫権は諸将を集めて宴を開き、酒が回ったころ周魴に言った。「君は髪を下ろして義を載せ、わが大事を成した。君の功名は、必ず竹帛に書き記されよう」。裨将軍を加え、関内侯に封じた。
- のち賊帥の董嗣が険阻に拠って豫章などを荒らし、呉粲・唐咨が三千の兵で数か月攻めても落とせなかった。周魴は進軍をやめるよう上表し、間諜を送って董嗣を誘い出して殺した。董嗣の弟は陸遜に降り、数郡は憂いがなくなった。
- 鄱陽では賞罰を明らかにし、恩と威をあわせて用いた。在任十三年で没した。息子の周処は、若い頃の乱暴を悔いて虎と蛟を退治した「三害を除く」話で知られ、西晋の将として戦死した。
- 『三国志演義』第96回では、周魴が曹休の前で泣きながら剣で髪を切って投げ、賈逵が「要離が慶忌を刺すために腕を断った故事と同じだ」と見抜くが、曹休は聞かない。髪を切る相手が曹休本人になっているのは物語の脚色である。徐衆は「郡守の職は民を治めること。君命でもないのに自ら敵を誘い、髪を剃って功名を求めるのは、君子の美とするところではない」と批判した。
主な出典
『三国志』呉書「周魴伝」(賀全呂周鍾離伝)、『三国志演義』第96回。徐衆の評は裴松之注引『三国評』。経歴は Wikipedia「周魴」の記述も参照しています。
SOUL ALIGNMENT
人物像の分類:真なる中立
太守として賞罰を明らかにし、国のために身を投じたことから、規律は中立に置いています。計のために髪を切り、職分を越えて動いたことは、秩序一辺倒とも言えません。
自分から敵を欺く計を申し出て、髪を切ってまで国の大事を成した一方、徐衆は「君命でもないのに功名を求めた」と批判しました。国のための動機と功名への思いが重なる人として、中立に置いています。
このページの性格・人物像と生き方の文章は、史実や『三国志演義』の記述そのものではなく、本サイト独自の8軸と人物タイプに基づく読み物です。